尾張津島-茅の輪くぐり

茅の輪くぐり

初詣に、一年間の無病息災を

津島神社 扉開祭
2010年1月4日~1月7日  津島神社

 津島神社で1月4日~7日に行われる和魂社例祭(にぎみたましゃれいさい)は、茅の輪くぐりとして有名です。「蘇民将来伝承」に基づき、津島神社に立てられる案内に従って茅の輪をくぐると、一年間無病息災で過ごせると伝わり、初詣に訪れる人々に喜ばれています。特別な厄除御守の授与もあります。

「蘇民将来伝承」を伝える神社仏閣は日本全国にあり、多くの茅の輪は夏季(夏越神事・夏の大祓)ですが、津島神社だけが、正月祭事の方が有名です。

茅の輪くぐりとは

chinowa_m_002.jpg 1月4日の「茅の輪くぐり」は、古くは蘇民祭とも呼ばれ、和魂社(古称:蘇民社)の神事です。

9時に神事があり、本殿だけでなく、楼門の横にある小祠の和魂社に参拝してから、本殿前の茅の輪をくぐります。当日は、「お守り・御幣・粟餅」が授与されます。

津島神社では、6月・12月晦日に、夏越の祓い・大晦日の祓いとして、「大祓」神事があり、申し込みをすると「蘇民将来の門礼」が授与されます。

蘇民将来伝承(そみんしょうらい でんしょう)

chinowa_m_003.jpg 「備後風土記」という古書などに書かれている話で、旅の途中で宿を乞うた神様(須佐之男命・牛頭天王・武塔天神)に、裕福な弟・巨旦将来は断りましたが、貧しい兄・蘇民将来は、粗末ながらも丁重にもてなしました。後に再訪した神様は、蘇民将来の一族に茅の輪を付けさせ、それを目印として、他の一族をすべて滅ぼしてしまいました。

以後、茅の輪を付けて蘇民将来の子孫とわかれば、疫病や災難を避けられる、という信仰で津島神社でも「護符」が売られています。

蘇民将来の護符

chinowa_m_004.jpg 日本最古の蘇民将来護符(または呪符)は京都府の長岡京跡から出土し、全国の古代・中世遺跡、特に大阪府・新潟県・三重県から多く発見されています。江戸時代には全国で70箇所程度の神社仏閣で頒布されていたことが、長野県上田市にある信濃国分寺資料館の調査でわかっています。

現代でも、津島神社をはじめ、三重県伊勢市の松下社、長野県の信濃国分寺(八日堂)、東北地方の寺院などでいろいろな護符が頒布されています。京都の八坂神社では、祇園祭に「ちまき」が頒布されますが、護符も頒布されています。